コーポ江戸屋敷 カレッジ同窓生の5年目懇談会レポート~振り返りから学ぶ活動の本質~
2021年7月31日、コーポ江戸屋敷 カレッジ同窓生の5年目懇談会がオンライン開催されました。
コーポ江戸屋敷では、2016年よりコミュニティデザインカレッジと題した連続勉強会を実施してきました。住人によるDIYや敷地緑化計画をもとにコミュニティ形成のシナリオを組み立て、実行計画を練っていく勉強会です。
その勉強会から5年。このたび「5年目懇談会」と称して、カレッジ後の活動を報告し合うことになりました。
発表者は、カレッジに参加していた6組の皆さん。
(スペースRデザイン(コーポ江戸屋敷)、久留米職人チームBASEの皆さん、H&A 櫛原エリア 半田兄弟さん、松葉ビレッジ 井上さん、樋井川村 吉浦さん、UR大阪 片岡さん)
また、zoomで視聴してくださった6人の方と意見交換も行いました。
このマガジンでは、発表の概要を少しだけ記録させていただきます。完全版はYouTubeで公開していますので、そちらをぜひご覧ください。
(YouTube動画「久留米ほとめきカレッジ 5年目の振り返り」https://youtu.be/UsEglyScjLE)
1.コーポ江戸屋敷
コーポ江戸屋敷:地方都市では、特にアイディアによる物件再生が重要。カレッジでの学びを受けて、室内のリノベーションだけではなく、ランドスケープデザインに取り組む。快適な敷地環境をつくるための整備を入居者さんと一緒に続けながら、1階部分にはパン屋さんとカフェが入居。カレッジから生まれた「7年後の団地の理想図」をもとに建物をまちへ開かれた場へしていくことで、団地再生と楽しい暮らしの実現を目指している。
2.松葉ビレッジ
松葉ビレッジ:カレッジでの学びを活かし、アフォーダンスとコミュテニィベネフィットの実践に一生懸命取り組んでいる。その姿を見てた入居者さんが自主的にお手伝いしてくれるようになってきてとても嬉しい。物件内で、新たなコミュニティスペースづくりにも取り組んでいる。家という場を提供する側の、基本的な心の在り方を学んだと思っている。
3.職人シェアオフィスBASE
職人シェアオフィスBASE:カレッジでの繋がりから、2017年に結成した職人集団BASE。職人業界が抱える問題を議論し合い、職人同士の繋がりと担い手の不足を解消していける場を目指す。このビジョンに共感する仲間が徐々に増えていき、社会性と事業性の2軸で活動を行っている。職人の仕事に対する姿勢の変化が起こったり、社会性あるプロジェクトへの参画など、従来の業界の仕組みに捉われない仕事づくりを実践している。
4.H&A brothers 櫛原エリア
H&A brothers 櫛原エリア:カレッジ受講前より、入居者さんとのDIYなど建物内でのつながりづくりを行っていたが、カレッジ受講後は、より大家と入居者の協力関係が生まれていると感じる。入居者さんからの仕掛けで、イベントを企画することが多くなっている。まちづくりの妄想図「くしわらまちごとリノベーション」の絵を描き、欲しい暮らしをみんなで共有。建物内にとどまらず、エリア全体での暮らしの楽しみをつくっている。
5.樋井川村
樋井川村:樋井川村は、まちのためになにかしたいという想いから2015年に設立。カレッジを受講して、自分のやってきたことが間違いではないと確認に変わった。人と人が集まることで相乗効果を生む関係性をつくり、それを広げていきたい。福岡市との共同事業「樋井川テラス」も始まっている。自分の建物を良くしていきたい、という想いだけでは人の共感は得られない。みんなでやったほうが良いものになる。まちづくりはコミュニティベネフィットづくり。
6.UR片岡さん
UR片岡さん:カレッジ受講後、5年間取り組みを続け辿り着いた今の答えは「団地のストックを使って、日々の暮らしの充実を実感できる物語を生み出し続ける」こと。千里青山台団地では、住人が自らビジョンを持ち、そのような場にしたいか?から集会所を考えた。URさんこんなことやっていいですか?という声をかけてもらえるようになっている。消費される団地ではなく、意欲を感じられる環境をつくるのが仕事。偶然の出会いをいたるところでつくる、あとは住民さんに使ってもらう、一人一人の物語をつくる場にする。これが大規模団地の再生手法と思っている。
最後に、発表を受けてのコメントでは、建築と不動産の融合が起きている、ということがポイントに。
発表に共通していたのは「偶然の出会いを生む場」をつくっていること。
「管理者がしっかり用意した何か(完全に出来上がっている場所)の中で消費すること」には新たな魅力や価値は感じられず、「その人自身が自力で発見した体験」こそが、そこで暮らす価値に繋がっていくのでは、という考察です。スタートとして、その体験をするためのきっかけは管理者が設定する必要がありますが、その後の体験や関係性の広がりは、住民さんが自然と主体的に見つけていくもの。(例えば、団地内にあるカフェに偶然立ち寄ったことがきっかけで、新たな知り合いができて自分の世界がひろがるような体験をするなど。)
その企画には、建築目線と不動産目線どちらも必要になってくるのです。
「私たち管理者がその目線を持ち続けるためには、そこに暮らす人のことを心から考え続けることが大切なのだと思います。と同時に、その行為が事業に結びつくことが必要で、想いだけでは継続して良くしていくことはできません。」(UR片岡さん)
カレッジ開催から5年。団地と住人さんと向き合い続けているからこそ辿り着く、活動の本質を発表から学ばせていただきました。
スペースRデザイン 新野
■YouTube動画「久留米ほとめきカレッジ 5年目の振り返り」
https://youtu.be/UsEglyScjLE